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この場所の物語
小方港から定期船で35分、瀬戸内海にぽつんと浮かぶ阿多田島は、ほとんどが山という、ふしぎなかたちの島なんですよね。港の周りには、江戸時代に積まれたという波除け石垣がいまも残っていて、漁港の背中にひっそりと演福寺が建っている。ちりめんじゃこやいりこを作り、ハマチや鯛や牡蠣を育てる、水産業ひと筋の島の暮らしが、ふだんのまま続いているのがいいなあと思うんです。
観音山の山頂には、平戸沖から引き上げられた観音像を祀る観音堂があって、阿多田島神社の境内には盃状穴の刻まれた石が江戸の時間を留めている。歩いて回れる島の中に、戦国の頃のソウゲ殿の碑から明治の阿多田島灯台まで、ずいぶん長い時間が折り重なっているんですよね。
泊まるところは、市が管理する「海の家あたた」がひとつ。資料館も併設されていて、広島湾の航路標識の歴史をすこし覗ける。長浦海浜は県内でも残り少ない自然のままの海岸だそうで、人の少ない波打ちぎわをひとりで歩く時間が、ここではあたりまえに手に入る。観光地のかたちをしていない島で、漁港の朝の音を聞きながらすこし長く居てみる、そういう過ごし方が似合うところなんだなあと思います。
阿多田島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 瀬戸内海
- 阿多田島
自然公園
離島